黄昏より暗きもの、血の流れより赤きもの

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黄昏より暗きもの、血の流れより赤きもの

自分の好きな事を好きなように書いて行きます。

条件付きの最大最小問題(値域)と、その解き方を復習する

rr>0を満たす実数の定数,実数x,yが条件x^2+y^2=r^2を満たしている.
さらにu=x+y,v=xyとなるようにu,vを定める.このとき以下の問に答えよ.
(1):条件を満たすuの値域をrを使って表せ.
(2):条件を満たすvの値域をrを使って表せ.

解答1:対称式を使う方法(逆手法、逆像法)

解説

x+y,xy,xy+yz+zx,xyzなどx,y,zのどれを入れ替えても値が一緒の整式を対称式と言う.対称式は方程式の解と関係がある.

代数学の基本定理
複素数係数の任意のn次方程式a_ox^n+a_{n-1}x^{n-1}+...+a_1x+a_0 = 0複素数の解をn個もつ.このn個の解をb_1,b_2,...b_nとするとき,
a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+...+a_1x+a_0 = a_n(x-b_1)(x-b_2)...(x-b_n)複素数の範囲で因数分解できる.(参考:代数学の基本定理とその初等的な証明:高校数学の美しい物語)

このとき上の因数分解の式の左辺と右辺を見比べたものが,解と係数の関係にあたる.

例えばn=2の場合,
a_2x^2+a_1x^1+a_0 = a_2(x-b_1)(x-b_2) =a_2x^2 -a_2(b_1+b_2)x+a_2b_1b_2,
より,b_1 + b_2 = \frac{-a_1}{a_2},b_1b_2 = \frac{a_0}{a_2}

このとき上の二式はb_1,b_2の対称式となっている.入試問題では方程式の解と係数の関係から導きだされた対称整式と,違った性質とを抱き合わせた問題が多数出題される.(例:2ちゃんねるに掲載の問題をやってみた:方程式の解と係数の関係と、ディオファントス方程式)

二次方程式で行けそうなときはx+y,xy.,
三次方程式で行けそうなときはx+y+z,xy+yz+zx,xyzの情報が無いか探してみよう.本問もその一例であるので是非やってみよう.

問題の解答

(1):x,yは実数より二次方程式の解と係数の関係から,z^2 - uz + v = 0が実数解をもつ.その判別式をDとして D = u^2 - 4v \geq 0v \leq \frac{u^2}{4} (i)


x^2+y^2=r^2
\Leftrightarrow (x+y)^2 -2xy = r^2
\Leftrightarrow u^2 -2v = r^2
\Leftrightarrow v = \frac{u^2}{2} - \frac{r^2}{2} (ii)
(i)(ii)より\frac{u^2}{2} - \frac{r^2}{2} \leq \frac{u^2}{4} ∴-\sqrt{2}r \leq u \leq \sqrt{2}r (iii) (答)

(2):(iii)より方程式(ii)を満たす実数uの集合(解)が求まったので,次はuの集合に対応するvの範囲を求める.
(ii)を見ると,ut二次方程式の形(二次関数の形)になっている.(iii)の集合に対応するuの集合(値域)は,下図より-\frac{r^2}{2}\leq v \leq \frac{r^2}{2} (答)

解答2:三角関数に帰着する方法

解説

問題文のx^2+y^2=r^2の式を見てみると何と円の方程式となっている.cosやsinの定義は円の方程式におけるx座標,y座標から来ていた.今回は式の右辺から半径rの円である事が分かる.そこでx=r\cos{\theta},y=r\cos{\theta} (0 \leq {\theta}  < 2{\pi})とおいて,三角関数の値域もとい最大最小問題に帰着していく.(x^2+y^2があったら角度のパラメーターに直してみて.ということ)

a,bを実数として中心(a,b)の半径rの円の式(x-a)^2+(y-b)^2=r^2の場合ならば,
x=a+r\cos{\theta},y=b+r\cos{\theta} (0 \leq {\theta}  < 2{\pi})と置く流れとなる.

解答

(1):x=r\cos{\theta},y=r \cos{\theta} (0 \leq {\theta}  < 2{\pi})とおく.
このときu=r\cos{\theta}+r\sin{\theta} \rightarrow u=\sqrt{2}r\sin{(\theta+\frac{\pi}{4})} (\frac{\pi}{4} \leq (\theta+\frac{\pi}{4})  < \frac{9\pi}{4}).これより\theta=\frac{\pi}{4}のとき最大値\sqrt{2}rをとる.これに対し\theta=\frac{5\pi}{4}のとき,最小値-\sqrt{2}rをとる.

以上より,-\sqrt{2}r \leq u \leq \sqrt{2}r(答)

(2):(1)と同様に,xy=r^2\cos{\theta}\sin{\theta}=\frac{r^2}{2}\sin{2\theta}(0 \leq {2\theta}  < 4{\pi}).
これより\theta=\frac{\pi}{4}のとき最大値\frac{r^2}{2}をとる.こ れに対し\theta=\frac{3\pi}{4}のとき,最小値-\frac{r^2}{2}をとる.

以上より,-\frac{r^2}{2} \leq v \leq \frac{r^2}{2}(答)

備考

ひょんな事から慶応大学経済学部の問題を見てみた.問題の説明の仕方の復習と言う訳だ.正直東大の文系問題を楽にしたような感じなのと,何より基本を組み合わせた問題のセットが多そうな印象.取りこぼしを如何に減らせるかって所だと思う.

類題(過去の出題例)

実際の入試では,上記の解法1と解法2等のどれかを選択して解く事が要求される.その場でその選択を迫られる訳だな.以下にその類題を載せてみる.

備考

値域と軌跡と通過領域は全て同じ意味で,実は条件を満たす集合を求めている事に他ならなかったはず.(値域・軌跡・通過範囲:青空学園数学科)