黄昏より暗きもの、血の流れより赤きもの

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自分の好きな事を好きなように書いて行きます。

【2016年:大学入試数学問題お気に入り集(1)】数式処理ソフトmaximaによる悪魔の力を借りて、2016年東京大学前期大問4を解く【Maxima】

はじめに

春真っ盛り。日本の各所で入試が行われ、「大学入試速報2016(問題・解答例・分析)/日本経済新聞社(NIKKEI)」に各大学の入試問題が公開されている。今日はは東京大学(前期)の大問4を紹介しよう。

問題(一部追記)

z複素数とする。複素数平面上の3点A(1)B(z)C(z^2)が鋭角三角形をなすようなzの範囲(集合)を求め、図示せよ。

ネタバレ有りの問題紹介

本問題をここに載せた、「高校生の皆さん。是非やってみてね」とおススメのポイントを話したい。おススメのポイントは、計算や論証に必要な文字の定義など全て自分で行う必要がある点。この為解法を変えて練習するのに適している点だ。

もちろん複素数のまま計算してもよいし、解答で紹介する通りz=x+yiとおいてユークリッド平面上の座標として処理する方法など様々ある。モデル立てによっては計算量が変わって来るので難しさも変わってくるのが特徴だ。

△ABCが鋭角三角形になる条件

本問題の胆となる鋭角三角形となる条件について確認したい。鋭角三角形は3つの角度が90°以下となる三角形だ。90°以下と言う条件を、自分が計算しやすいように読み替え、モデル立てと計算を進めて行く流れだ。

f:id:program_study:20160320113646j:plain

解答

概要

z=x+yiとおく。このときz^2=(x^2-y^2)+2xyiとおける。
以下zの実部をx軸、zの虚部をy軸にプロットし、ユークリッド平面上にて考えるものとする。

ここでユークリッド平面上ではA(1,0)B(x,y)C(x^2-y^2,2xy)とプロットできる。さて、△ABCが鋭角三角形であるためには、
[i]AB^2 < BC^2 + CA^2 かつ 
[ii]BC^2 < AB^2 + CA^2 かつ 
[iii]CA^2 < AB^2 + BC^2 が成立することが必要。

ここでmaximaに計算させる準備として、
p=AB^2 = (x-1)^2+y^2
q=BC^2 = (x^2-y^2-x)^2+(2xy-y)^2 
r=AC^2 = (x^2-y^2-1)^2+(2xy)^2 
とおく。上記[i]〜[iii]までの条件は以下のように読み替える事が出来る。

[i]:
AB^2 - BC^2 - CA^2 <0\Leftrightarrowp - q - r <0\Leftrightarrow
-2\{(x-1)^2+y^2\}\{(x+\frac{1}{2})^2+y^2)-\frac{1}{4}\}<0
[ii]:
BC^2 - AB^2 - CA^2 <0\Leftrightarrowq - p - r <0\Leftrightarrow
-2(x+1)\{(x-1)^2+y^2\}<0
[iii]:
CA^2 - AB^2 - BC^2 <0\Leftrightarrowr - p - q <0\Leftrightarrow
2x\{(x-1)^2+y^2\}<0

ここでB(1,0)のとき、C(1,0)となってしまい鋭角三角形を作らない。これより {(x-1)^2+y^2}>0*1となる事がわかり、

[i]:{(x+\frac{1}{2})^2+y^2} >\frac{1}{4}
[ii]:-2(x+1)<0 ∴x>-1
[iii]:2x<0x<0

以上より[i][ii][iii]の共通集合をxy平面上に図示すればよい。但し、境界は含まない。

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悪魔の力を借りた箇所

以下本問題で悪魔の力を借りた箇所について紹介したい。本問題はpqrおよび、p - q - rq - p - rr - p - qmaximaを使って整理した。不等式の領域を図示すれば良い為、出てきた物を因数分解して話を進めればよい

さてmaximaでは、展開は「expand( (x+1)*(x+2) );」と言うように入力し、因数分解は「factor(x^2+3x+2);」のように入力する。計算した結果を変数に保持する場合は「a:expand( (x+1)*(x+2) );」のように操作すればよい。

今回のように具体的な問題の中で悪魔の力を借りる場合は、悪魔くんが作業しやすくするための準備が必要だ。こういった悪魔の力と言うのは、ドラえもんのコンピューターペンシル(全自動で何でもやってくれる)では無い事に注意されたい。

maximaで式を入力する手順

(%i24) p:expand((x-1)^2+y^2);
(%i25) q:expand((x^2-y^2-x)^2+(2*x*y-y)^2);
(%i26) r:expand((x^2-y^2-1)^2+(2*x*y)^2);
(%i27) factor(p-q-r);
(%i28) factor(q-p-r);
(%i29) factor(r-p-q);

結果


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最後に

年老いた自分としては、△ABCが鋭角三角形となる条件をネット検索で探してから解答した(それくらい自分で考えろって話だけどね)。その為所見で解いている訳では無い事をご了承頂きたい。

本問題を鋭角三角形を満たす辺の長さの条件から考察すると、どうしてもx^4が出てきてしまい処理できない。そこでmaximaに式の展開と因数分解を依頼し、リクツの上ではこのやり方で解くことができそうな事が分かった。試験中ならば、河合塾が発表しているようにベクトルの内積の値に着目し、[i][ii][iii]の条件を割り出すのが無難だと思う。気になる解答はこちら

最後に△ABCが鋭角三角形となるような、ベクトルの内積に関する条件を以下にまとめた。興味のある方は是非是非ベクトルの内積を使ってやってみてほしい。

△ABCが鋭角三角形となる条件(ベクトル内積版)

以下の3つの条件は同値である。

△ABCは鋭角三角形
\Leftrightarrow \angle A < \frac{\pi}{2}かつ \angle B < \frac{\pi}{2}かつ \angle C < \frac{\pi}{2}
\Leftrightarrow\vec{AB} \cdot \vec{AC} > 0かつ\vec{BA} \cdot \vec{BC} > 0かつ\vec{CA} \cdot \vec{CB} > 0
\vec{a},\vec{b}\in \mathcal{R^2}のとき、\forall{\vec{a}},\forall{\vec{b}}に対し 0< \theta < \frac{\pi}{2} \Leftrightarrow 0<\cos{\theta}<1  \Leftrightarrow 0 < \vec{a} \cdot \vec{b} < |\vec{a}||\vec{b}|

*1: {(x-a)^2+(y-b)^2}=0を満たす点(x,y)集合は点(a,b)のみを表す。