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自分の好きな事を好きなように書いて行きます。

衆議院小選挙区制における295議席を決定するための、「アダムズ方式」を復習する(後編)

アダムズ方式とは?

衆議院小選挙区制における295議席を決定するための、「アダムズ方式」を復習してみる。今回は2015年度の人口を適用してみて、どれだけ議席数が変化するか実際に調べてみる。まず「1.衆議院議員総選挙」に依れば、衆議院の定員数は495人で、内295議席小選挙区制であり、内180議席比例代表として選定される。今回は各県毎(各州と言うべきだろうか?)に議員を選定する小選挙区制が話のメインだ。アダムズ方式の計算法を確認したい人は前編を読んで欲しい。

従来の議員選定方法:1人別枠方式

従来小選挙区の選挙で採用されて来たのがこの「1人別枠方式」である。以下にその概要を載せると以下のようになる。

衆院小選挙区n議席のうち、まずk都道府県に1議席ずつを「別枠」として割り当て、残り(n-k)議席を人口に比例して配分する方式。人口の少ない地方に比例配分より多めに議席を配分し、過疎地の国民の意見も国政に反映させることが目的と説明されてきた。(1人別枠方式:コトバンクより一部改変)

変更後の議員選定方法:アダムズ方式

今度はアダムズ方式について説明する。

1.ある基準得票数dを選ぶ。
2.各都道府県iの得票数P_idで割った商\frac{P_i}{d}を計算し、その小数点を切り上げたq_i= [ \frac{P_i}{d}+ 1]を計算。その値をもとに名簿iに配分される議席数を決定する。
3.もし、上記の方法によって決定された議席q_iの総和が議席T(今回の場合は295)より大きい(小さい)場合、基準得票数dを増大(減少)しステップ(2)へ戻る。もし議席数の総和が定数と等しければ、終了する。

アダムズ方式の欠点と私見

ここで私見を言いたい。まずアダムズ方式の場合でも全ての県iに対し、基準人口で割り算した値を切り上げるため少なくとも1議席は確保される。

例えばp_1=100、基準人口d=1000としたとき、議席数の数q_1= [ \frac{100}{1000}+1 ]=[1.1 ]=1

一般に\lim_{d \to \infty}{\frac{P_i}{d}} = 0(dについての反比例のグラフ)より、\lim_{d \to \infty}q_i = [ 0+1 ] =1となるため、各県に少なくとも1議席は確保されるはずである。

以上よりリクツの上では、1人別枠方式を採用する理由が無い。と言うのが自分の主観である。さて、アダムズ方式の嫌な点(欠点)は基準人口dに比例して県i議席q_iが決定されるため、人口の少ない県程少なく議員数が選定される点だ。ともすれば人口の少ない県に味方の議員の多い政党程、やりにくくなるので反対する流れとなる。

第二章:実際にアダムズ方式を実行してみた

ここからは前回の記事にて作ったプログラムと以下のデータセットを使い、実際にアダムズ方式により小選挙区における議席数配分を行なってみた。

使用するデータセットについて

まずニュースで公表されている議席数の計算にどのようなデータセット(統計資料)を使ったかが分からなかった。このため「男女別人口及び人口性比-全国,都道府県(大正9年~平成22年):統計表一覧 政府統計の総合窓口 GL08020103(e-Stat)」の平成22年度のデータを用いた。当然の事ながら、使用するデータセットが違えば結果も違う事が想定される。

答え合わせのデータセットについて

一方で答え合わせに使うデータとして、「衆院選の選挙制度改革 「アダムズ方式」は一票の格差を埋められるのか | THE PAGE(ザ・ページ)」の物日本地図に書かれている数値を用いた。

この為公表されている値とズレがある箇所は×、合っている箇所に○をしておく。尚、内容の証明として集計に用いたプログラムを、gitHubのgistに置いておく

答え合わせに使う図面


f:id:program_study:20160313204838j:plain

結果

議席数は295、都道府県数47にて計算を行なった。その結果最終的な基準人口はd=470,259(人)と計上された。

増減が発表された18の県のうち14勝4敗。正解率は100 * \frac{14}{14+4} = 77.8(%)。その一方で静岡県(下の緑)のように、答えと全く違った議席の増減が発生した。ここで答え合わせの表を作った人のデータセットが新しいとすれば、それまでの間に人口の増減があり、それが今回の結果に影響したと考える。

表(基準人口d=470,259)







県名アダムズ方式旧方式
合計2952950
北海道12120
青森県(○)34-1
岩手県(○)34-1
宮城県(○)56-1
秋田県330
山形県330
福島県550
茨城県770
栃木県550
群馬県550
埼玉県(○)16151
千葉県(○)14131
東京都(○)28253
神奈川県(○)20182
新潟県(×)660
富山県330
石川県330
福井県220
山梨県220
長野県550
岐阜県550
静岡県981
愛知県(○)16151
三重県(○)45-1
滋賀県(○)34-1
京都府660
大阪府19190
兵庫県12120
奈良県(○)34-1
和歌山県330
鳥取県220
島根県220
岡山県550
広島県(×)770
山口県440
徳島県220
香川県330
愛媛県(×)440
高知県220
福岡県11110
佐賀県220
長崎県(×)440
熊本県(○)45-1
大分県330
宮崎県330
鹿児島県(○)45-1
沖縄県(○)34-1

第三章:平成22年時点の人口分布のときに、議席数が3以下となる県をまとめる

今度はデータセットから、日本の過疎地域がどれだけあるかを調べてみた。ここで質問を投げかけてみる。

質問(文章完成法)

以下の[ ]にもっとも当てはまると思う数字を答えてください。
「過疎地域と思うのは、その県の各都市の人口の合計が[ ]万人以下のとき」

自分なりの解答

自分は[ ]に100を入れたい。100と答えたのも理由があって、アダムズ方式による議席数が3を記録する人口が丁度3だからだ。以下高校受験から大学受験中の皆さん向けになってしまうが、議席数3となる都市の人口の計算方法について説明したい。

アダムズ方式により議席数が3以下となる県を探す流れ

課題
各県の人口をP_i(P_i > 0)、基準人口をd、選定される議席数をq_i = [\frac{P_i}{d}+1]とする。d=470259のとき、q_i \leq 3となるためのP_iの範囲を求めよ。

解決策
ガウス記号の性質から、 3 \leq \frac{P_i}{d}+1 < 4。依って 2 \leq \frac{P_i}{d} < 3 2d \leq P_i < 3d(∵d > 0)。以上より議席数を3以下確保するための人口の条件は、基準人口の3倍未満である事が分かる。先ほどの結果から基準人口がd=470,259となり、基準人口の3倍の人口は3d=1,410,777(人)となる。このことから各県の人口において0 < P_i < 1,410,777が必要な事がわかる。

人口1,410,777人未満(議員数3以下)となる県名一覧

上記課題の結果より、人口が1,410,777(人)未満となる県を過疎地域とみなす。まずは平成22年度の人口統計から当てはまるものをリストアップしてみた。

表(基準人口d=470,259)
番号県名人口(人)議席
1青森県1,373,3393
2岩手県1,330,1473
3秋田県1,085,9973
4山形県1,168,9243
5富山県1,093,2473
6石川県1,169,7883
7福井県806,3142
8山梨県863,0752
9奈良県1,400,7283
10和歌山県1,002,1983
11鳥取県588,6672
12島根県717,3972
13徳島県785,4912
14香川県995,8423
15高知県764,4562
16佐賀県849,7882
17大分県1,196,5293
18宮崎県1,135,2333
19沖縄県1,392,8183


f:id:program_study:20160314003504j:plain

最後に

こうして調べると人口142万人未満の県が19県もあったとは驚きだ。図示すると東北、関西、四国、中国、九州に過疎地域が広がっていることもわかる。以下主観だが、アダムズ方式は各県の人口に依存する選抜方式である。ややアダムズ方式から飛躍するが、選抜方式云々より各県の人口をどう減らさないかを考えた方が、議席数確保の面で良さそうである。

加え、実際の様子は考えないものとして各県の人口の推移とその要因を統計的に調べてみたいと思う今日この頃だ。