黄昏より暗きもの、血の流れより赤きもの

黄昏より暗きもの、血の流れより赤きもの

自分の好きな事を好きなように書いて行きます。

アンチラガチャで炎上中の「グランブルーファンタジー」が謝罪した件で、ゲームの儲け方とガチャの確率を復習してみた(1.14 追記変更)

はじめまして。今日は自分がやった事のないソーシャルゲームグランブルーファンタジ」のネタです。


f:id:program_study:20160111214530j:plain

(これが噂のアンチラちゃん画像。FFTの吉田さんみたいな絵柄で可愛らしい)

グランブルーファンタジーと言えば、昨年の東京ゲームショウで一番敷地面積の広い展示をしていた事が印象に残ります。このご時世であのコンパニオンの数は凄かったです(爆笑)。さて、植松伸夫氏などファイナルファンタジーのスタッフが関与している所を見ると、スクウェアエニックスの人間を高待遇で引き抜いたのかな?なんて思ったものです。

炎上の概要

そんな訳で今回の炎上の概要を見てみましょう。

【山本一郎】グラブルの消費者問題に寄せて――スマホゲーム業界全体に漂う問題を軽くまとめてみる - 4Gamer.net 【山本一郎】グラブルの消費者問題に寄せて――スマホゲーム業界全体に漂う問題を軽くまとめてみる - 4Gamer.net

ガチャ炎上中の「グランブルーファンタジー」が謝罪 ユーザーからは「謝罪になってない」「80万円使った」などの声も - 痛いニュース(ノ∀`) : ライブドアブログ ガチャ炎上中の「グランブルーファンタジー」が謝罪 ユーザーからは「謝罪になってない」「80万円使った」などの声も - 痛いニュース(ノ∀`) : ライブドアブログ

炎上の原因は、年末年始のガチャイベントで提供されていた「アンチラ」というキャラクター。このキャラクターの出現率が非常に低く、アンチラ狙いのユーザーが次々と爆死(大金をつぎ込んでも引けないこと)したのがそもそものきっかけでした。

また、他のキャラクターに比べて出現率が低く設定されている(ユーザーのガチャ報告などからの推測)にもかかわらず、その旨を事前に表記していなかった ことも問題に。「アンチラが他のキャラクターと同じ確率で出ると誤解させる」として、ユーザーからは「有利誤認にあたるのではないか」との声があがってい ました。

加えて、同時期に実装された新キャラクター「ベアトリクス」の性能表記が実際の性能と異なっていたり、また「アンチラ」と他のガチャキャラクター両方をそろえることで、ゲームを有利に進められる「クロスフェイトエピソード」と呼ばれるイベントが発生することなども問題に。

前者は優良誤認、後者はいわゆるコンプガチャ規制に抵触するのでは――といった指摘も寄せられ、一部ユーザーの間では、消費者庁に通報したり、返金を求めたりといった動きも起こっていました。署名サイトChange.orgでは、運営会社に立入検査を求める署名も立ち上がっています。(ガチャ炎上中の「グランブルーファンタジー」が謝罪 ユーザーからは「謝罪になってない」「そこじゃない」などの声も(Yahooニュース))

私見1:クロスフェイトエピソードを思いついた秀才に拍手!

さてここからは自分の思った事を書きます。思った事の1つ目はクロスフェイトエピソードは、ユーザーを課金させる上で非常に良くできたシステムであると言う事。以下ベタ褒め話を続けます。

さてRPGと言うか日本のゲームの大半は、「マリオがクッパを倒す」「主人公が魔王を倒す」と言う目的の下に話を進めて行きます。その過程を幾つかのステージで区切ったりし、ステージをクリアする事で、プレイヤーに達成感という経験(User eXperience)を提供しています。

丁度これはマリオの1-1、1-2を片付ける要領で、RPGでもA地点、B地点に立ち寄ってお使いを片付け…と言う事を繰り返し、最終的に魔王を倒す流れですね。その過程でキャラのレベルが高い方が話を進めやすいとか、アイテムが良ければ話を進めやすいがあるわけです。

ソーシャルゲームの売り上げの立て方

さて従来のゲームではゲームの操作法やルールを改良した物を出す等、達成感を経験する部分を工夫し、多くのプレイヤーにゲームをプレイしてもらう事を目的としてきました。

これに対しソーシャルゲームの場合だと要はユーザーに麻薬を打ってもらう要領で、麻薬を売る場をユーザーに提供する事が先となります。最初プレイ無料とするのも、飼いならす土壌を提供したいからです。

弱い麻薬から強い麻薬をと言う訳ではありませんが、メーカーはどんどん強いアイテムを販売していきます。こうする事でユーザーが長い期間ゲームをプレイすることに繋げ、利益を上げるようにしていると推測します。(こちらを参考に説明しました)

むやみに強いアイテムを提供すれば良い訳でない

ただむやみやたら強いアイテムを出せばいいと言う訳ではありません。やり過ぎると丁度「銀行がお金を発行し過ぎてハイパーインフレ状態になる」ようなプレイヤーの強さのインフレが発生します。

こうなってしまうとゲームのバランスが変わってしまい、従来使えてたカードが使えなくなるなどの問題が生じます。結果プレイヤーが離脱するなどの問題が起こるため、ユーザーの様子を見て課金アイテムを提供する必要があります

コンプガチャとクロスフェイトエピソードの違い

さてソーシャルーゲームの課金の花形と言えば、アイテムをカードの形で購入するガチャですよ。かつてはコンプガチャというものがありましたね。これは「有料ガチャアイテムを含む特定の2つ以上の異なるアイテム等を全部揃えることを条件として、ソーシャルゲーム等で使用することができる景品類たる別のアイテム等を利用者に提供する方式」と定義されます。(こちら参照)

これは「有利なアイテムをn個集めると、さらに有利なアイテムをプレゼントしますよ」と言うシステムです。*1

さて今回のクロスフェイトエピソードは、これより一段進んだ頭のいい課金システムと言えます。クロスフェイトエピソードとは、特定のキャラが仲間にいて、かつ発生条件を満たしている場合にアンロックされてできるクエストを言うようです。(こちら参照)

ここまでの説明の通り、クロスフェイトエピソードにもゲームを有利に進める要素が無ければ、ソーシャルゲームメーカーは利益を得る事はできません。そのためクロスフェイトエピソードでは「このエピソードをクリアするとHPが上がり、ゲームを有利に進められますよ」と言う事を売りにし、利益を上げている模様です。

クロスフェイトエピソードはどうして儲かるの?

ホント「この必殺技を覚える必要がある」とプレイヤーにもう一仕事させる点が非常に素晴らしい。攻略サイトの表を引っ張ってくると、

フェイトエピソード名 対象キャラ 発生条件 クリア報酬
もふもふ同盟 アニラ (SSR) アニラが「竜吟虎嘯」を習得。 ATK+530
もふもふ同盟 アンチラ (SSR) アンチラが「葦編三絶」を習得。 HP+270

上の表を見ての通り、カードを手に入れさせた後、必殺技を覚えさせるまでの時間稼ぎをしている訳です。さて以下は本ブログお得意の、もといソーシャルゲーム業界で広く流通している公式になります。

売上 = インストール数 * 継続率 * 課金率 * 課金ユーザー当たりの客単価(ARRPU)*2

以下公式的な見方をして整理します。まず出現率の低いカードを2つ集める客単価(ARRPU)をつり上げ、次に時間稼ぎで継続率を釣り上げる訳です。以上。公式的に見て、ダブルパンチで売上を取る点が大変素晴らしく、拍手に値します。

私見2:「ガチャの排出確率\frac{1}{n}」と言う表記にご用心!

私見2は「ガチャの排出確率\frac{1}{n}」と言う表記にご用心と言う事について話します。以下皆さんがソーシャルゲームのガチャの排出確率を読み解くために、役に立つであろう背景の情報を垂れ流します。

情報1:確率の起源は実はギャンブル

まず1つ目の情報は、確率の起源はギャンブルであると言う事。こちらのサイトの説明を借りると、確率の起源は、「AさんBさんが勝負しました。このとき途中で勝負が中断されたギャンブルの掛け金をどうやって分配するか?」とギャンブルの掛け金をどう分配するか?というのを、貴族のシュバリエ・ド・メレが数学者のパスカルに相談した事から始まります。

情報2:「ガチャの排出確率\frac{1}{n}」の計算手法が重要

今回の事件ではガチャの排出確率を明記しない事が問題になってます。何となくネットの書き込みを見ていて皆さん「ガチャの排出確率\frac{1}{100}」と言われたら、100回に1回必ず当たると信じこんでいるような気がします。直感的にどうしてもそう思ってしまうのですが、教科書的な観点からしてもそれは違います。以下確率について説明をします。

確率とは何か?

まず確率とは何かについて説明します。例えば、 「サイコロを投げる」と言った試行において、起こりうる全ての場合の数をn(U)、その内「1の目が出る」と言った特定の事象Aの起こる場合の数をn(A_1)とします。

この時 y = P(A) = \frac{n(A)}{n(U)}と、特定の事象Aの起こる割合がいくらかである事を示す指標が確率です*3

確率をどのように計測するのか?

ここで「ガチャの排出確率\frac{1}{100}」と言うからには、何らかの方法f(x)で確率を調べた物だと思われます。つまり自分を始めとして、なんらかの計測手法や理論f(x)により、最終的に出力された確率の値yを見ている訳です。

そんな訳で2つ目は、計測手法f(x)が違えば、それに応じて出力される確率yも違うと言う事を話します。以下「1〜6が出るサイコロを振って1が出る確率y」を例に説明します。

計測手法f(x)の例1:理論的確率

例1は組み合わせから確率の値y_1を計算していきます。

\large{y_1 = \frac{1が出るの組み合わせの数}{サイコロの出目の組み合わせの数} = \frac{n(A_1)}{n(U_1)}}
\large{y_1 = \frac{1}{6} = 0.166}(16.6%)

計測手法f(x)の例2:経験的確率

例2では実際に100回振ってみて確率y_2を確かめます。実際にサイコロを買って来て検証するのが面倒なため、サイコロを100回振るシュミレーションプログラムを作成しました(モンテカルロ法)。

プログラム

結果(出目)


結果(回数)
出目 1の回数 2の回数 3の回数 4の回数 5の回数 6の回数 合計
結果 14(回) 19(回) 11(回) 22(回) 18(回) 16(回) 100(回)

分布(ヒストグラム)



上記の結果より1が出る確率について確認します。例2の場合サイコロ100回振ると言う事象U_2、そのうち実際に1が出ると言う事象A_2に当たります。ここで実際に1が出る回数n(A_2)がどれくらいの割合で発生するかに注目し、y_2 = \frac{n(A_2)}{n(U_2)} = \frac{14}{100}と14%である事がわかります。

このように理論的に計測した例1では確率がy_1 = \frac{1}{6}と計測され、経験的に計測した例2では確率がy_2 = \frac{14}{100}と計測されているので、直感的にy_1 \neq y_2が読み取れます。このように計測手法f(x)が違うと結果yも違うことに注意です。

さらに発展させると、理論的な確率が\frac{1}{6}と言っても、実際の確率が\frac{1}{6}である保証はない事もわかります。これは丁度、パチスロで確率\frac{1}{300}と書いてあっても、実際は400回以上回してようやくBIGを引くと言う事にあたります。又、今回の例2における実験の分布図を見ての通り、多少のズレはあるものです。従って確率表記も目安程度にしかならない事にご注意下さい。

その他私見

今まで調べて来た事から、個人的にゲーム会社に文句を言うなら「確率を明記しろ」と言うのではなく、「どのような手法で確率を計測し、その結果どの値が出たを見せろ」と言った方が良いでしょう。というのも計測手法f(x)がバレると、手の内がバレるから言いたくないはずだから、ダメージも大きいかなと思います(笑)。

そして「アカギ」などでも、ニセアカギが麻雀牌の出目を組み合わせ論的な確率ではじこうとしているシーンがあります。結局アカギにイカサマされて負けちゃうんですよね。アカギも「こういう抜きは実戦では有効なんだよね。おたくの七面倒な計算の確率よりさ」と言っておられ、確率自体イカサマには無力ですのでその通りです。


アカギ―闇に降り立った天才 (4) (近代麻雀コミックス)

アカギ―闇に降り立った天才 (4) (近代麻雀コミックス)

尤も確率論自体一つの宗教です。かのアインシュタインも「神はサイコロを振らない」と、確率で話を進める事を批判する有名な例もあります。*4

自分は扱いが楽と言う理由で確率を扱う確率宗教の信者ですが、世の中ニセアカギのような確率宗教の盲信者もいるのが困り者です。

最後に

話変わって昨日ラブライブ!サンシャインの聖地の沼津に行ってきました。その帰りの東海道線が止まっちゃって大惨事で。そんな大惨事の中携帯この炎上騒動を見つけまして、思わずネタにしてやろうと思いました。

Cygamesと言えば数年前データサイエンティストの面接受けて落とされた所なんで、苦い思い出の方が多いですね(笑)。まあこんな職に就きたいと考える人間ですから、例えば継続率などお金や数値に関する情報収集は得意なんですが、当のゲームの方はからっきし。だから面接などの「ゲームやります?」系の質問にめっぽう弱くなりました。

俺は俺でプレイヤーの皆さんにゲームを仕掛けて、その売上の一部を給料でもらって、札幌のすすきのあたりで女の子と…思っているけど現実そうはいかないです(汗)。携帯ゲームって女の子の方が強いと思いますので、すすきのに行っても「どういうゲームが売れますかね?やっぱツ○ツムみたいな物でも作りますか?」等と女の子に聞いてる光景が頭に浮かびます。

自分だとオタクな意見しか出さないので、幅広いユーザー層をターゲットにすることは多分無理そうなんで(笑)。ホント。流行を追っかける商売に就けないのが悲しい所です。

その一方で批評の中で確率や統計の話が出来ればいいなとは思っていたので、自分の自己満足は達成されました。自分の方では企業でお金を稼ぐにはほど遠いですが、今日の話が皆さんがガチャや宝くじの確率を読みとき、話を進めるための一助になれば嬉しいです。

*1:強い方は「コンプガチャの数理 -コンプに必要な期待回数の計算方法について-:doryokujin's blog」に挑戦

*2:出典:「ソーシャルゲームにおけるKPI分析の現状と展開(基本編) - WebアナリストのUX戦略思考」より

*3:確率と統計:静岡理工科大学」を参考

*4:物理学科を卒業するような人だと、一から微分方程式をベースに計測手法f(x)を編み出す場合が多いです。勉強会で微分方程式がでてきたら「多分物理系の人だな」と思ってます